(無題)

銀行に行ったのです。 

 

順番を待っている間に

クレジットカードを勧めてくる人が来たので 

 

『会社潰れて自己破産したので、審査通らないよ。』 

 

「お仕事されてますか？」 

『親の介護で、無職ですよ。その親がいなくなったんで口座止めめに来たんですけどね。』 

 

って言ったらいなくなった。 

 

ごめんね。

 

 

 

かえる時。

 

「ここにバイク停めたらあかん！」

 

と黒塗りの車から降りてきた人に怒られた。

 

『ここにバイク置き場って書いてありますけど。』

「しかし、バイク置かれたら車が通れないだろ！」

 

『ここには駐車場って書いてないですけど。

　駐車場、柵の向こう側にあるますけど。』

「俺はいつも ここに停めてるんだ！」

 

『近いうちに、また来るんですが

　その時は 何処に止めれば良いのですか？』

「あ、お客様でしたか！

　失礼しました。 どうぞご利用ください。」

 

なにそれ。

 

家に帰ってきて

聞き忘れたことがあったので

銀行に電話。

 

『すみません、口座を持っている者が無くなりまして・・・』

「その場合には ご家族の方の印鑑証明や なんとかーかんとかー。」

 

『あのですね。』

「はい。」

『知ってます。』

 

『お電話をしたのは その件ではなくて・・・』 

「では店番と口座番号をお伺いして・・・」

『◯◯◯◯◯◯◯です。』

「その場合にはですね、◯◯◯支店に行っていただきまして なんとかーかんとかー。」

 

『あのですね。』

「はい。」

『知ってます。今、行ってきました。』

 

『あのですね、お願いがあるのですが

　人の話を最後まで聞いていただけますか？』

「・・・・・・。」

 

まさかの無言。

今度はちゃんと 話を聞いてくれるみたい。

 

『なんとかーかんとかー ・・・なんですけど。

　教えていただけますか？』

「・・・・・・。」

 

まさかの無言。

 

『聞こえておりますか？』

「ご本人様でないと、お答えできません。」

 

『ご本人、他界しました。 先ほども申しました。

　もう結構です、失礼します。

　そして失礼されましたー。』

 

 

もう言葉がない。